BANAPA通信

表参道にある小さなギャラリーオフィスで起こる
日々をつづるブログ

小雪のすきなところ003

「贅沢焼きそばになってしまった」

豚肉は切ってね。

written by amano

小雪の好きなところ002

「ティッシュ繋がってた」

って、ライン送ってこなくていいよ。

written by amano

小雪の好きなところ001

「トシコ!トシコの好きな博士のテレビやるよ」

ありがとう。

小雪、それは教授だよ。

written by amano

人間の証明

パパが亡くなってからしばらくして

ある日ママがこんなことを言い出した。

「新聞で見た渋谷にある帽子やさんに行ったの」

パパと結婚するためだけに田舎から出てきて、

何でもパパに相談して決めていた人だった。

ひとりでは何もできないと思っていた。

「へぇー」と気のない返事をしたわたしに

買ってきたという帽子と新聞の切り抜きを見せてくれた。

渋谷から表参道へ向かう青山通りにある老舗の帽子やさんの記事だった。

帽子も記事の内容も憶えていないのだけど

変わったなと思った。

 

青山通りを歩いていたら、あの帽子やさんの店先に

「急なお話ですが8月末日で閉店することにしました」と貼り紙が貼ってあった。

店の前は何度も通っていたが、自分には似合わないと思って入ったことがなかった。

でも今日は躊躇わずドアを開けた。

似合う帽子はやっぱりなかった。

大特価3000円の紙のそばに麦わら帽子が積まれていた。

形といい色といい普段は買わない帽子に今日は手が伸びた。

「これは男性モノですか」とたずねると

この店の最後となる店主らしき男性が

「いいえ女性もかぶれます」

試しにかぶって、前の方のツバをあげると

「ツバは下げてください。太陽の光から目を守ります。そして真ん中に。その方がお似合いです」

「これください」

麦わら帽子をかぶって38℃の青山通りを歩いた。

written by amano

セミの泣き声がうるさい

たま〜に、ほんとたま〜に、もう亡くなってしまった友だちに

そっくりな人を街で見かけることがある。

もちろん、友だちは亡くなった歳のまま。

私だけ時を重ねている。

見かけるといってもすれ違う一瞬なのだけど

本当にそっくりだ。

一昨日も飲み屋でかわいがってくれた先生(お医者さんだったので先生と呼んでいた)を見かけた。

どんなことも受け止めくれそうな大きな体と

何でも教えてくれた知的な瞳で

横断歩道を渡ってきた。

暑い日だった。全部が嫌になるくらい。

「先生、わたしはちゃんと前を向けてるでしょうか」

なんでセミはあんなに泣くのだろうか。うるさい。

written by amano

わらしべ長者にわたしはなるっ

みーちゃん

お元気ですか。

太田くんから原宿で個展を個展を開いていたと聞きました。

一歩一歩前に進んでいるんですね。

頼もしいです。

人との出会いってとても偶然で、それでいて必然なのだと思う。

うまく付き合うって、もちろん努力も必要なのだけど

その時の状況だったり、運だったりするんだなと思うのです。

景気がいいときに知り合えばいい関係かというとそうでもなくて

もう潰れそうだなというときに知り合うと、

意外とギスギスする関係じゃなかったり。

どんなときでも、相手をリスペクトできる

余裕と出来事と場所と気持ちみたいなのが

カチッと合えばうまく付き合える。

たとえ歳が上でも下でも、違う性別でも。

運は逃しちゃうこともたくさんあるけど

拾うこともできると思っているので

しばらくは下を向いて歩こうっと。

わらしべ長者を目指そう!

written by amano

わたしの好きな先生

週に一度、マッサージに通っている。

先生が東中野から明大前の整骨院に移っても

わざわざ明大前まで行く。

それだけ信頼している。

 

付き合いは適度な距離感で、というタイプなので

美容院ですら話しかけられるのは困ってしまう。

だから美容院も25年近く同じ人に担当してもらっている。

整体も同様。のはずだった。

東中野で揉んでもらっているときは話をした記憶がないのだが

移動の話を打ち明けられたときに

「先生を追いかけて移ってもいいですか」

と、まるで告白か、というようなことをしてから

なんだか距離がとても近くなった気がする。

施術中のおしゃべりも

最初は先生の彼女の愚痴にはじまり

回を増すごとに彼女が嫁になり、引越しの話になり

最近では揉みとおしゃべりの比率が逆転している。

 

今日も最近観たスラムダンクの映画の話になった。

先生はアニメスラムダンクのドンピシャ世代らしく

わたしの100000倍の熱量で映画の感想を話してくれた。

そこで観客の中にスーツのジャケットの下に

湘北のユニホームを着た男性の3人連れがいて驚いたことを話すと

「何もびっくりすることはありませんよ。野球の試合にユニフォーム着て行くじゃないですか」

「ええ、でも映画ですよ」

「だって、結婚式にタキシード着るじゃないですか。それと同じですよ」

先生に一生お世話になろうと思った瞬間だった。

written by amano

いつかは叶う

大好きな大橋さんが

いろいろと片付けはじめていらっしゃる。

京都のお店もそうだし、たくさん集めた雑誌や書籍など。

大橋さんと言っても私のことを知っているわけでもないし

勝手に大橋さん呼ばせていただいているだけだが、

とても『大橋歩』と呼び捨てにはできない。

だって尊敬しているから。

インスタにあがっている片付けられた雑誌や書籍の画像は

ArneやイオグラフィックのHPで見かけたものだったりする。

真似して購入したものもいくつかあった。

いつか見てみたいなーと思った昔の雑誌もあった。

 

実家をリノベーションして

壁一面に本棚をつくってもらった。

コツコツためた書籍を会社から持って帰ったり

一度手放した本を古本屋で再び購入したりして

子どもの頃からの夢をかたちにしているけれど

わたしの本たちはわたしの血となり肉となっているだろうか。

 

そういえば、御茶ノ水の松翁で、一度、大橋さんにお会いしたことがある。

たまたま大橋さんがデザインしたワンピを着ていて

お食事が終わったタイミングだったか

たまたま目が合ったタイミングだったかに

「いつも拝見しています!」と直立不動で言ったらしい。

「ありがとう」と言ってくれたのか、

言ってくれなかったのか忘れてしまったけど

優しく笑ってくださったことだけは憶えている。

会いたいと思えば、いつかは叶うものだ。

written by amano

コーヒーブレイク

コロナが流行る前後から、近所のSHOZOでコーヒーを買ってから出社している。忘れなければ水筒を持っていって、1回分のホットコーヒーを小春にもらった水色の水筒に入れてもらっている。

20回分先に払って、すこしおまけしてもらうシステム。チケットではなく、店の奥に図書カードみたいなカードに飲むたびに印を押すような感じだ。

感じと言ったのは、実物のカードを見たことがなく、お金を払うたびに、店の奥でゴソゴソとカードらしきものにチェックしているようだから。カードがあるせいで名前もおぼえてもらった。

常連さんもたくさんいるようで、コーヒーを待っていると常連さんが来てスタッフとおしゃべりする。わたしといえば洒落た会話もできず、空いている席に座ってBGMを聴きながらぼーっとしたり、軒先の花を見たり、たった5分ほどの誰にも邪魔されない時間を満喫している。つまり思い切り気を抜いている。

「天野さんいつもありがとうございます」

やさしいスタッフの声に対して

「ぐえっ」とカバンを落とすほど驚くたびに

ふふっと笑われるのであった。

 

written by amano

仮面ライダー

ある日「天野さんは森を見ないで木ばかり見てる」と言われた。

肯定的ではなく否定的に言われたと受け取った。

編集という仕事柄、それでも見渡しながら進めていたつもりだったので

多少、いや、ねちっこく落ち込んだ。

これは、小学2年のときに『よいこのあゆみ』(成績表)に「根気が足りません」と書かれて、あわててジグゾーパズルを用意した、短絡的なママの遺伝だと恨んでもみた。

2週間くらい地味に落ち込んだ。

そんなとき『シン・仮面ライダー』の映画に誘われた。

映画を見終わった後、飲み屋で感想を言う機会があったので、私は戦闘シーンで血が吹いていたことに(TVのときは血など吹き出していなかった)、ライダーもショッカーも血が流れているんだと改めて思えてよかったと述べた。

あと胸キュン要素もあったので、ライダーも人間よねと、点数は10点中8点と答えた。

仮面ライダーが好きだからと映画に誘ってくれた彼は、

「バイクがスズキなんだよね。TVのときはホンダだったのに、物足りないなー、だから3点」

120分何を観てるのかしらぁ。

森を見ないで木ばかり見ているのは、あ・な・た、と

生グレープフルーツサワーと一緒に呑み込んだ。

written by amano

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