BANAPA通信

表参道にある小さなギャラリーオフィスで起こる
日々をつづるブログ

リンゴの樹

 

──たとえ明日、世界が滅亡しようとも

──今日私はリンゴの樹を植える。

 

マルティン・ルター(独)の言葉です。

私がこれを目にしたのは

柳田邦夫氏の『「死の医学」への序章』

という本の中でした。

 

ちょうど20年前

当時とても憧れ、尊敬していた恩師が

末期がんに冒され、壮絶な闘病をしており

そのことにひどく動揺した私が

少しでも気持ちを落ち着けたくて

手当たり次第手にした本の中の一冊でした。

 

件の言葉は、たしか冒頭の

十数ページ目あたりに出て来るのですが

そこで号泣してしまい

暫く先に進めなかったのを思い出します。

 

明日、世界が滅びると分かっているのに

樹なんて植えたって意味はありません。

 

しかし、それを人の命に置き換えると

先がもう長くないことが明白ならば

その人のいま生きていることの意味が

なくなってしまいます。

 

けれど、本の中の登場人物は

がんに立ち向かい、その命が尽きる瞬間まで

人の役に立ちたいと願い、行動します。

 

そんな覚悟で生きたいものです。

 

残された時間は永遠ではありません。

時の流れ行く速度は恐ろしく早いのです。

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written by 太田

たからもの

なぜだかヒトは

高いところが好きですよね。

 

高層マンションは

上階へいくほど値段が高く

時の権力者も競って

建築物を高層にしたり。

 

優越感。

征服感。

達成感。

爽快感。

 

神に近づきたいから。

なんて考える人もいるみたい。

 

私も好きですよ。

高いところ。

 

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横浜某所。

 

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奥多摩某所。

 

非現実感がいいんでしょうね。

 

逆を思うと分かる気がします。

高いところから降りてくると

いっきに現実に引き戻されます。

 

非現実感なら高いところに限らず。

 

ワイキキのビーチ添いのBarで

昼間っからバドワイザー。

 

笑っちゃうほど美味しい

名人の激辛鉄火巻き。

 

真冬のNYで凍えながら見上げた

ダコタ・ハウス。

 

うねるような大地の起伏に

めまいがして尻餅をついた長門牧場。

 

自分でも驚くほど声が出ちゃう

憧れのロックスターコンサート。

 

灼熱のベネチアを歩きづくめ

たどり着いた先の村上隆。

 

はじめて娘を胸に抱いたときの

あまくすっぱいにおい。

 

あとどれくらい訪れるのだろ。

そんな宝物のような時間たち。

 

written by 太田

1つでいい

さいとうもウチヤマも

ネタに困ると看板頼りか。

 

さて。

太田の新連載。

勝手に看板添削コーナー。

始まりました。

 

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オフィスの近所にあるお寿司屋さん。

入ったことはないのですが

ググってみたら結構な評判店です。

 

が、私は見逃しません!

 

なぜ看板に店名を2個並べた?

モザイクかけてますが

もちろん同じ名前がご丁寧に2個あります。

 

察するに、

真ん中縦書きは看板文字で

右下の方はロゴのつもりなのでしょうが

微妙に異なるも、ともに似たような

行書体というのがいけません。

 

しかも、真ん中縦書きの方が

個性と読みやすさを併せ持つ書体で

むしろ、こちらの方がロゴ向きである

という点が、一層腹立たしい。

 

いや、書体云々ではなく

やはり2個置いちゃダメでしょう。

 

誰か、助けてください。

 

written by 太田

刷師に学ぶ

ここのところ毎週末、

どこかしらの山頂を極めている

遅れてきた山ボーイ

アルピニスト太田です。

 

北斎などに代表される

浮世絵が「版画」だという事は

ご存知のことと思います。

 

版画には絵師、彫師、刷師がいて

北斎はその中で図案を担当する絵師です。

とかく絵師ばかりが浮世絵師として

脚光を浴びていますが

彫師、刷師の職人技なくして

優れた浮世絵が完成しないのは

言うまでもありません。

 

多色刷りする版画ですから

色毎に版があり、刷りがあります。

それらが版ズレすることなく

しかもグラデーションまで駆使して。

その技にただただ驚愕するばかりです。

 

わたしが駆け出しのころ

よく叱ってくれる印刷会社の担当さんがいました。

「おまえ、こんなの印刷じゃ再現できねぇよ」

「なんだよ、この色指定。文字読めねぇぞ」

「いいか。最終的に印刷されて完成品なんだぞ」

「印刷に適さないデザインなんて、絵に描いた餅なんだよ」

 

そうやって、わたしの拙いデザインの粗を

いくつも未然に防いでくれたものでした。

 

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江戸時代も現代も

職人との信頼関係が欠かせないことを

あらためて思いだしました。

 

written by 太田

よく晴れた日は

先週のさいとうの
ブログの答えは
『たつまきハリケーン』
ではないかと思っている
太田です。

よく晴れた日の朝は
ワーズワースの詩なんか
いかがでしょう。

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「虹」

空にかかった虹を見ると
私の心は高鳴るのだ

少年の頃もそうだった
大人となったいまもそうだ
年老いてもそうありたい
でなければ死をたまえ!

少年が長じて大人となる
だから私は少年の頃の
敬虔な気持を持ち続けたい

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本格的な夏が楽しみです。

こちらはGWのひとこま。

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たつろうブブーン。

written by 太田

花ざかり

ボーナスを

アルコール現物支給でと

自ら希望するとは。

会社思いのいいこです。

シャンパンもつけましょう。

太田です。

 

さて。今年は春が

短かった気がしませんか。

それでも、

短いの春のあいだ、存分に

花を身近に過ごしました。

 

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梅、桜にはじまり

 

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これ、好きです。

一本の木から、たくさんの色の花。

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よく見ると

一輪の花の中にも複数の色。

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そして、時期はツツジへと。

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今年、うまく咲けなかった花。

来年、きっとうまく咲けるよ。

来年、うまく咲けなくても

いつかきっと、大輪の花を開くよ。

そのためにしっかり、根をはろう。

 

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花の写真を見返していたら

こんな写真が。

 

なかなかの和風美人。

いや、知らない人ですよ。

偶然写っちゃっただけですから。

 

 

written by 太田

一寸千貫

内山の旅話のネタを

尽きさせないためにも

ボーナスのこと、考えてあげないとな。

やっ、そうじゃないだろっ!

太田です。

 

『一寸千貫(いっすんせんがん)』

大工の世界で使われる言葉です。

 

わずか一寸(約33mm)の角材でも

歪み、傾きなく真直ぐに立ててれば

千貫(約3,750kg)の重みにも耐える。

という教えです。

 

人も同じ。

まっすぐな姿勢で

まっすぐな思いを

まっすぐに貫けば

きっと、どんな困難にも耐えられる。

 

そしてそれは

さほどキツいことではありません。

 

最初に

丁寧に

真直ぐに

立ててやりさえすれば

あとは相当な重みにも耐えられるのだから。

 

新しいことを始めるとき

困難に立ち向かっているとき

思い出してみてください。

 

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内山のボーナスは、ビールでいいか。

written by 太田

遠い昔から

GW、満喫してますか。

千喫くらい、太田です。

 

現在開催中「大英博物館展」。

お散歩ついでに立ち寄ってみました。

 

なんでもアリのガラクタ箱。

それはもちろん歴史的に価値のあるものばかり。

なのですが、

「何に使ったか分からない、なんか箱」

「ひょっとしたらエライ人の、多分小物入れ」

みたいな、うぷぷなものや

来てるじゃん!「ロゼッタストーン」。

と思うとレプリカだったり。

 

いや、

文句を言ってるのではありません。

 

100のモノにまつわるエピソードから

古代から現代に至る人々の営みに思いを馳せ、

いつの世も変わらない人間の性を笑ったり

とても楽しい展示でした。

 

中でもコレ。

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メソポタミアの給与明細だそうです。

その報酬は貨幣ではなくて

ビーーールッ! なんですって!

ホゥッ!!

 

いつの時代も労働者の最高のご褒美は

仕事終わりのビールなんですね。

 

written by 太田

もってるオトコ

晴れ男の称号は

遠い過去の栄光となってしまったようです。

太田です。

 

4月の第3週。

私たちはとある地方空港で

3日間に渡るロケに挑んでいました。

 

2日目、時間は19:00過ぎ。

一日中降り続ける忌々しい雨は

その先も止むそぶりをみせません。

 

そんな中、カメラマンと私は

特別な申請を通して

滑走路と並走する場周道路にいました。

 

この雨では、残念ながら

撮影は断念せざるを得ません。

最終日となる翌日のために

せめてロケハンだけでもできれば。

そんな思いで

地の果てのような場周道路を

ひたひたと走っていました。

 

そしてお目当ての地点で

運転者に声をかけ、車をとめてもらうと

私は同乗するカメラマンと得意先に

「明日、この辺りで件のカットを狙いましょう」

と伝えます。

 

それを受け、カメラマンは

レンズが雨で濡れぬよう

車のウインドゥを少しだけ下げると

カメラを手持ちで構え予行練習に励みます。

 

そこに、たまたま目の前で

おあつらえ向きにボーイング機が

タキシングに入ります。

 

すると、なんということでしょう。

気がつけば雨は小雨になり

ボーイング機がファインダーの中で

ベストポジションに収まるると

その時を待っていたかのように

雨が完全に止んだのです。

 

慌ててウインドゥを全開にすると

カメラマンは長尺レンズをドアに固定し

息をひそめ、獲物を狙い澄まし

その影をカメラに収めていきます。

 

許された時間はわずか数十秒。

ボーイングは爆音を残し

鮮やかに飛び去っていきました。

 

気がつけば

ついさっきまでと同じように

雨が滑走路に打ち付けています。

もはや誰も驚きません。

 

カメラに刻まれたシーンが

息を飲むような

素晴らしい写真として残されたことは

言うまでもありません。

 

いずれ時期が来ましたら

改めてその成果物、カメラマン氏を

ここで紹介しようと思います。

 

それまで、まだ暫く

余韻とともに独り占めしておきます。

 

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諸々オトナの事情があって

これくらいの写真しか載せられないのですよ。

あー、楽しかった!

 

written by 太田

空に憧れて

 

かわいい後輩が

プレゼントしてくれた

ヒコーキ会社の仕事のため

地方空港に来ています。

 

2日続けて

03:00起きのロケも

なんのその。

 

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スタッフとともに

得意先の想いを

高く羽ばたかせるべく

がんばります。

 

 

written by 太田

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