BANAPA通信

表参道にある小さなギャラリーオフィスで起こる
日々をつづるブログ

刷師に学ぶ

ここのところ毎週末、

どこかしらの山頂を極めている

遅れてきた山ボーイ

アルピニスト太田です。

 

北斎などに代表される

浮世絵が「版画」だという事は

ご存知のことと思います。

 

版画には絵師、彫師、刷師がいて

北斎はその中で図案を担当する絵師です。

とかく絵師ばかりが浮世絵師として

脚光を浴びていますが

彫師、刷師の職人技なくして

優れた浮世絵が完成しないのは

言うまでもありません。

 

多色刷りする版画ですから

色毎に版があり、刷りがあります。

それらが版ズレすることなく

しかもグラデーションまで駆使して。

その技にただただ驚愕するばかりです。

 

わたしが駆け出しのころ

よく叱ってくれる印刷会社の担当さんがいました。

「おまえ、こんなの印刷じゃ再現できねぇよ」

「なんだよ、この色指定。文字読めねぇぞ」

「いいか。最終的に印刷されて完成品なんだぞ」

「印刷に適さないデザインなんて、絵に描いた餅なんだよ」

 

そうやって、わたしの拙いデザインの粗を

いくつも未然に防いでくれたものでした。

 

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江戸時代も現代も

職人との信頼関係が欠かせないことを

あらためて思いだしました。

 

written by 太田

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