2015年6月30日 10:59 AM
リンゴの樹
──たとえ明日、世界が滅亡しようとも
──今日私はリンゴの樹を植える。
マルティン・ルター(独)の言葉です。
私がこれを目にしたのは
柳田邦夫氏の『「死の医学」への序章』
という本の中でした。
ちょうど20年前
当時とても憧れ、尊敬していた恩師が
末期がんに冒され、壮絶な闘病をしており
そのことにひどく動揺した私が
少しでも気持ちを落ち着けたくて
手当たり次第手にした本の中の一冊でした。
件の言葉は、たしか冒頭の
十数ページ目あたりに出て来るのですが
そこで号泣してしまい
暫く先に進めなかったのを思い出します。
明日、世界が滅びると分かっているのに
樹なんて植えたって意味はありません。
しかし、それを人の命に置き換えると
先がもう長くないことが明白ならば
その人のいま生きていることの意味が
なくなってしまいます。
けれど、本の中の登場人物は
がんに立ち向かい、その命が尽きる瞬間まで
人の役に立ちたいと願い、行動します。
そんな覚悟で生きたいものです。
残された時間は永遠ではありません。
時の流れ行く速度は恐ろしく早いのです。
written by 太田
category : つぶやき